こんにちは、せいです。生物系研究者から会社員として働いています。
今回は、博士課程→会社員として働くための就職活動の方法をご紹介します。
博士課程にまで進学すると、卒業時期がみんなバラバラだったり、アカデミアに残る人も多いので、民間企業への就職活動はどう動いたらいいのかわからない人も多いと思います。
私自身、いつ卒業できるかもわからず、浪人生活やオーバードクターを経験したこともあり、普通の新卒枠でいいのか、第三新卒という枠で応募したらいいのか、どうやって企業を見つけてくるのか、どう応募したらいいのかなど悩むことが多くありました。
また周囲に相談できる人もいなかったため、一人で上記の悩みを解決しなくてはいけなかったのもかなり苦しかったです。
そのような経験から、同じように博士の就活方法がわからないという人たちのために、私の経験談も踏まえて、博士の就活をどうやったらいいのかをご紹介していこうと思います。
アカデミアか民間企業か
まず、アカデミアか民間企業かどちらに就職するのかによっても就職活動の方法は違います。私自身、アカデミアでの就職活動の経験はほとんどないので、一般的に耳にする情報を軽く書きたいと思います。
アカデミアへの就職活動の場合
アカデミアではなく民間企業への就職を希望している方はここは読み飛ばしていただければと思います。
私の場合は、博士課程時に所属していた研究室にそのまま研究員として雇われたのがアカデミアでの経験です。・・・役に立ちませんね。
一般的にアカデミアでの就職活動といえば、Jrec-Inが有名です。アカデミアの情報だけでなく、時々民間企業の求人も記載されていることがあります。
一方で、アカデミアでの就職活動は、興味のある研究室や大学に直接問い合わせることが一番良いと思います。Jrec-inを使って網羅的に求人を調べることよりも、自分の興味のある分野はある程度皆さんお持ちだと思うからです。
直接連絡を取ったほうが求人にはない情報をもらえることもあるので、ポータルサイトはあくまでどういった求人があるのかという情報収集に使うのがいいと思います。
まずは、学会や論文、教授のコネクションを利用し、自分の興味のある分野の先生の情報を集めましょう。就職活動以前にできれば顔見知りになり、連絡を取りやすい状態にしておくことをオススメします。
民間企業への就職活動の方法
民間企業への就職活動の方法は、大きく分けて以下の3つあると考えています。
- 新卒
- 第三新卒
- 転職
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
新卒枠での就職活動
新卒枠での就職活動は、大卒や修士卒のように主に3月(または9月)に卒業する人向けの就職活動の方法です。
就職活動の方法は、大卒の方々と同じように各企業の採用ページにある新卒採用のHPから採用を進めていくことになります。
または、決まった企業がない場合や多くの企業に応募したい場合は、就活サイトからの応募になります。
リクナビやマイナビといった業界大手の人材会社は、持っている企業情報が最も多いので、これらのサイトに登録することはマストです。
またエージェントを利用することで、書類や面接対策もお願いできるのはありがたいですね。
まずはエントリーシートや会社説明会、筆記試験、面接など企業に合わせた対策をとっていきます。
難しいように聞こえるかもしれませんが、大卒向けの就職活動のノウハウがそのまま使えることが多いので、情報はネットや書籍を参考にすれば問題ないと思います。
実際に私も、大学時代に少しやっていた就活のやり方で選考を進めていくことができました。
一方で、前述したように博士課程は卒業時期の目処がなかなか立たないこともあるため、4月に一斉入社するような新卒枠での就職活動が難しい場合があります。
また、私の場合、就職活動を始めたときすでに30歳だったこともあり、年齢の問題で新卒枠での就職活動は結局途中で断念することになりました。
私のようにオーバードクターや浪人などで30代での就職活動となってしまった博士は、新卒枠での就職活動は困難です。
企業側もまだまだ博士号取得者を採用することに慣れていない場合もあるので、仕方がありませんが少し悲しいですよね。
そのような方は、次にご紹介する第三新卒枠や転職での就職活動を考えてみてはいかがでしょうか。
第三新卒枠での就職活動
第三新卒とは、どう言う意味でしょうか?Wikipedia によると以下のような定義です。
第三新卒(だいさんしんそつ)は、大学院博士後期課程修了者、もしくは大学院博士後期課程在籍者などの25歳以上の就労経験がない(もしくは3年未満)の就職希望者のこと。
この定義を見ると、博士卒の人たちは新卒でも第三新卒枠で就職活動ができることがわかります。
新卒入社後1〜3年程度で退職し、再度就職活動をしている人たちを第二新卒と言いますが、第二新卒と第三新卒の違いは、第三新卒の方が専門性が高いことです。
この専門性をいかにアピールできるのかが、就職活動を成功させる鍵になりそうです。
第三新卒での就職活動と前述した新卒枠での就職活動の違いは、企業の採用ページではなく就活サイトからの応募がメインになる点です。
しかし、問題点があります。
それは、第三新卒に特化した就活サイトがないことです。
そのため、第三新卒の場合、「第三新卒可」という求人に応募していく形になります。
ただ、「第二新卒可」「第三新卒可」と記載のある求人は、ブラック企業であったり派遣の研究職であったりとオススメしません。
わざわざ第三新卒枠で応募するよりも、前述した新卒枠か後述する転職での就職活動をオススメします。
転職での就職活動
最後に転職での就職活動についてご紹介します。
社会人経験がないのに、転職での就職活動をしてもいいのか?と疑問に思われるかもしれません。
その答えはYesです。
何を隠そう、私自身が社会人経験ゼロで転職サイトを通じて内定を手に入れました。
前述の通り、最初は新卒枠で就職活動をしていましたが、会社説明会の際に、
「え、30歳ですか?…ごめんなさい」
と年齢を理由に新卒枠での就活が出来ませんでした。
悩んだ結果、ダメ元で転職サイトでの就職活動を始めました。
転職で面白いのは、「ポテンシャル採用」というのがあることです。
その名の通り、即戦力にならずとも鍛えれば今後活躍しそうな人たちを採用することです。
求人で明示されていなくとも、例えば年収レンジが400万円〜1000万円のように幅が広い場合、一般社員から管理職まで採用しようとしてる可能性があります。
そこが狙い目です。
特に研究職のように博士採用にある程度慣れている会社や職種ではなく、博士卒採用には慣れてないけど今後積極的に採用したい企業は倍率も低くなります。
また、転職で入社することのメリットは、年収が新卒に比べて高くなることです。
ポテンシャル採用とはいえ、私の場合は新卒よりも200万円以上高い給与をいただくことができました。
新卒枠でも大卒や修士卒に比べて博士卒の年収は高いですが、これまでの博士課程の苦労を考えると、もっともらってもいいと私は感じています。
それを実現できるのが転職です。
一方で、転職での応募が難しいのは、就活サイトではなく転職サイトを使うこと、職務経歴書が必要であり、また新卒の場合とは違いフォーマットがありません。
転職サイトは、dodaやリクルートエージェント、ビズリーチを使いました。
dodaは20代や30代といった若手向けで、リクルートエージェントは求人保有数がどこよりも多いので登録しておきたい転職サイトです。
ビズリーチは、多くの転職エージェントと知り合えるので、自分に合ったエージェントを探すにはとてもいいサイトです。
職務経歴書の書き方や面接対策でオススメの方法は、以下の記事に書いている有料noteです。
motoさんのnoteで書類通過率90%超になりました。安斎さんのnoteまで実践できれば、転職活動の対策はバッチリです。
結局、どの方法がいいのか?
博士課程の就活の方法を「新卒」「第三新卒」「転職」という3つの視点から紹介させていただきました。
では、結局どの方法が1番いいのでしょうか?
それは、職種によると思います。
博士号を活かしたいと思う人が真っ先に思いつく職業は、研究職だと思います。
研究職の場合、新卒枠での応募が最善です。
なぜなら、中途採用(転職)で募集されている研究職は、元々研究職で活躍した方々を対象としている場合が多いからです。
研究職に就いてない人や社会人経験ゼロの人が、転職で研究職に就くのはほぼ不可能です。
そのため、企業研究者として働きたい人は、新卒枠を目指しましょう。
新卒ではダメだったけど、どうしても研究職を諦められない人は、まずは研究職の方々と仕事ができる職種に就きましょう。
ドメイン知識と他のスキル、例えばデータ解析であればバイオインフォマティシャン、マネジメント力があればマネジメント層としての採用の可能性があります。
ただし、新卒に比べるとさらに狭き門になることを覚悟しましょう。
研究職以外での職種では、転職をオススメします。
その理由の一つは、前述したように新卒よりも年収が高いことが挙げられます。その他、研究職以外にも博士の専門性を活かせる職種を知ることができることもオススメの理由です。
元々、私も多くの人が考えるように研究職を志望してました。それは、研究職なら1番博士の専門性を活かせると思ったからです。
結局、研究職は箸にも棒にもかからず、博士号取得者をたまたま積極採用していたコンサルタントになりました。
そのコンサルタントとして企業研究者と仕事することが多く、結果として専門性を活かしつつ、コンサルスキルも身につけることができました。
専門性を活かすことは研究をすることではなく、研究バックグラウンドの人たちとのコミュニケーションが取れることだなと気がつくことができました。
年収を上げたい!専門性を活かしたい!研究職でなくてもOKという人は、転職+ポテンシャル採用という選択肢も面白いと思います。
おわりに
今回は、博士の就活の方法をご紹介しました。
私自身、アカデミアから会社員への就職活動はどうしたら良いのかわからず、当時はとても苦労しました。
同じように博士の就職活動がわからず悩んでいる人たちの役に立てたらいいなと思います。
それでは、また。
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